利州
中央市場・仲卸

大坂中央市場を語る

天下の台所・大阪を支える中央卸売市場

天下の台所・大阪を支える中央卸売市場。

それなのに、築地や豊洲に比べると、いまいち知名度がありません。

今回は、株式会社三恒(さんつね)の代表取締役で全国水産物卸組合連合会理事を務める三上正剛社長が、卸売市場の歴史と現状から今後の課題と未来につながる取り組みまで、とてもわかりやすく教えてくださいました!

三上社長

「もともと大阪市中央卸売市場は、戦後、物資の安定供給を目指し、国が中心となってつくりあげた仕組みです。

日本全体に物資が足りない中、どこかが独占してしまわないように、公平な『セリ』という形の分化システムを導入しました。

大坂市中央卸売市場(本場)のセリ風景

そのため、現在も基幹市場として、日本中、世界中からありとあらゆる食材が入荷されます。

特に水産に関しては、本場と呼ばれるここ中央卸売市場にいったん集まり、木津市場、黒門市場、天満市場へと割り振られていくのです。

とはいうものの、30 年前には360 社あった水産仲卸店舗も、今では150 社まで減ってしまいました。

流通総額も、仲卸経由で年間最高1700 億円あったものが、今では、半分以下の700 億円まで落ち込んでいます。

海鮮イメージ

原因は様々に考えられますが、何と言っても流通が変わった、魚を食べる場所が変わったということに尽きるのではないでしょうか。

かつては、対面のお魚屋さんに行って、今日のおすすめの魚を選び、『どうやって食べたら美味しいの?』と聞いて家で料理する・・・、というのが、どの家庭でも当たり前に行なわれていましたよね。

でも、今は家で魚を調理することはほとんどなくなってしまったのです。

そこで、私たちは、まず中央卸売市場の認知度をアップさせようと考えました。

東京の築地・豊洲に比べ、大阪の中央卸売市場は決して有名だとはいえません。

長年、プロのみを相手に卸業に徹した商売を続けてきた中央卸売市場。

そのため、場外の飲食店が栄えた築地などとは違い、一般の方々が『ちょっと食べに行こう!』と中央卸売市場を訪れる機会はほとんどないのです。

魚を売るためには、まず何より魚好きの人を集めなければなりません。

そのためには、もっと魚を、そしてもっと中央卸売市場を知ってもらおう。

そんな想いから始まったのが、「ざこばの朝市」です。

ざこばの朝市

大セリ大会、マグロの解体ショー、高級魚もあたる大抽選会など普段はなかなか体験できないイベントを行ない、日ごろ魚に興味の薄い方々にも楽しみながら魚食文化に触れてもらおうと、若手の仲卸業者が中心となって企画しました。

年に4 回開催し、今年3 月には35 回目を迎えます。

手探りでのスタートから8 年が経った今、毎回5000 人以上、多いときでは1 万人が集う一大イベントへと成長を遂げました。

子どもさんたちが初めて鯛を絞める現場を見ると、きっとショッキングでびっくりするかもしれませんが、これこそ、本来の食育。

毎日、命のやりとりをしている卸売市場をひとりでも多くの人に知ってもらい、美味しい旬の魚を食卓に並べてもらいたいと願っています。」

株式会社三恒・代表取締役 三上正剛

中央卸売市場の特徴を活かしつつ、日本の魚食文化の発展を先導する三上社長。

若手仲卸業者のリーダーの目が見据えるのは、大阪だけにはとどまらない、日本の、そして世界の水産業界が進む未来なのです!

需要創造がキーワード

株式会社三恒(さんつね)の代表取締役で全国水産物卸組合連合会理事を務める三上正剛社長は、若手仲卸業界のリーダー的存在です。

自身も鮭のエキスパートとして名を馳せる三上社長に、今後の関西で必要とされる人材についてお尋ねしました!

さんつね・三上社長

「これからの時代、ここ関西でも、『需要創造』がキーワードになってくると考えています。

限られた中央卸売市場の中でお客様の取り合いや足の引っ張り合いばかりしていても、明るい未来はやってこないでしょう。

スーパー、飲食店、ホテル、さらにはドラッグストアや新形態のフードビジネスにいたるまで、多様化した流通にどんどん食い込んでいくことができる人材が求められているのです。

大坂市中央卸売市場(本場)のセリ風景

そういった意味でも、私たち仲卸には、ただの『物売り』ではなく、『コンサルタント』としての役割が課せられます。

物の善し悪しを見極める力が大切なのはもちろんですが、『どれをどの人に売るか』を見定める力が必要とされるのです。

『仕入れるときは売り先をイメージして、お客様に喜んでもらえるものを選ぶ』ということこそ、本当の意味での『目利き力』なのではないかと感じています。

大坂市中央卸売市場(本場)のセリ風景

この業界では、単品であればおよそ3 年でそれなりの商いができるようになるといわれます。

さらに、年単位のサイクルの中で旬の時期を把握し、お客様の販売量や相場感のデータを蓄積することで、お客様から『このアイテムはこいつに任せておいたら大丈夫だ』という安心感を引きだすことができれば、一人前ということができるのではないでしょうか。

食は、とてもわかりやすいものです。

口に入れれば、すぐに答えが出ます。

美味しかったら合格だし、そうでなければダメ。

明快なだけに、その分、非常にシビアな世界でもあるのです。

中央卸売市場のメリットは、あらゆる商品が全国から集まってくるというところにあります。

その環境を活かし、毎日、自分の目で見て、実際に食べ、細かい情報を肌で感じる。

そして、それを仕入れ先である漁場や売り先であるお客様にフィードバックしていく。

そんなWin-Win の関係を構築できる人材こそが、これからの関西に必要不可欠だといえるでしょう。」

三恒・三上社長と利州・上田副社長

難しい話もわかりやすくかみ砕いて、理路整然と語ってくださった三上社長。

「自分たちで魚を捕るわけではない私たち仲卸の商売は、結局、一個人の魅力で決まる」という三上社長の言葉には、計り知れない説得力がありました!

プロフィール

三上 正剛

全国水産卸組合連合会理事

近畿地区水産物卸組合連合会理事

大坂市水産物卸協同組合常任理事

株式会社三恒 代表取締役

※鮭を中心とした水産物卸、お魚の切身加工・味噌漬・佃煮の加工食品の生産・販売